佐久間象山先生揮毫による当社の幟(のぼり)

当社の幟は佐久間象山先生の揮毫によるものです。当時象山先生の門弟として学んでいた花岡復斎という地元若槻東条の方を通じて書いていただいたものです。七反幟といわれ、神社の幟の中では比較的大きなもので、以下の文字が記されています。

  威稜扶宇宙(いりょううちゅうをたすけ) 恩眷煦生霊(おんけんせいれいをくす) 

意味:八幡大神の御威光で宇宙が安定している その恵みが生物の上に行き亘っている。

幟にある年号は「嘉永甲寅春三月」。これは嘉永七年(1857年)であり、同年11月には安政元年に改元されています。この年の二月には米国使節ペリーが再来航しており、その視察のため幟を書かれた三月に象山先生は黒船寄港地の横浜に出向かれました。しかしながら横浜ではある事件の首謀者一味と疑われて投獄されてしまい、その後約半年にわたって取り調べを受けています。幟を書いていただくのが少し遅れていたら、現在社宝ともいえる幟は存在していなかったかもしれません。当時はまさに幕末。世の中がダイナミックに動きはじめていた…そんな時代でした。