当社には「鎮懐石(ちんかいせき)」と呼ばれる霊石が御神宝として伝えられています。
鎮懐石は、神功皇后が皇子(後の応神天皇)を御懐妊のまま新羅へ出兵された際、出産を遅らせるために身につけられた石と伝えられています。
神功皇后は戦を終えて無事に帰国された後、応神天皇をお産みになりました。この故事から、鎮懐石は古くより「母と子を守る石」として尊ばれ、子授け・安産・子育ての守護として広く信仰されてきました。
また、鎮懐石は豊かな実りを願う霊石としても大切にされ、『古事記』『日本書紀』『万葉集』『風土記』などの古い文献にもその名が記されています。
蚊里田八幡宮と鎮懐石
平安時代後期、武将・源義家は陸奥征伐の際、この霊石を陣中の守護神として奉戴し戦功をあげたと伝えられています。
その後、鎮懐石は義家の子・義隆、さらに孫の頼隆へと受け継がれました。
頼隆が若槻の地の領主となった際、この霊石を奉斎して八幡大神をお祀りする社殿を造営したことが、当社の起こりと伝えられています。
また、「蚊里田八幡宮」の社名は、鎮懐石ゆかりの地である筑紫国蚊田(現在の福岡県宇美町)にちなむとも伝えられています。
現在へ受け継がれる御神宝
鎮懐石は現在も当社に伝わる最も重要な御神宝の一つとして大切に守り伝えられています。
春季例祭では神宝櫃に奉安された鎮懐石が神幸の列の最上位に捧持され、氏子地域を巡幸した後、本殿へ奉安されます。
当社では鎮懐石の御神徳にちなみ、子授け・安産・子育て成就をはじめ、家族の幸せと健やかな成長をお祈りしております。