春季例祭「善光寺平春の三大祭の一つ」

 

 

蚊里田八幡宮の春季例祭は、毎年五月五日に執り行われる当社最大の祭礼です。

古くは五月八日に行われていたことから「お八日(ようか)」と呼ばれ、地域の人々に親しまれてきました。

長野市安茂里大門の正覚院観音まつり、長野市長沼の西厳寺蓮如忌とともに、「善光寺平春の三大祭」の一つに数えられています。

鎮懐石をお祀りする祭り

春季例祭の最大の特徴は、当社の御神宝である鎮懐石(ちんかいせき)をお祀りする祭りであることです。

鎮懐石は、神功皇后が御懐妊中に身につけられたと伝わる霊石で、古くから大切に守り伝えられてきました。

祭礼では、神宝櫃に納められた鎮懐石を氏子や関係者が捧持し、神幸行列を整えて地域を巡ります。その後、本殿へ奉安し、五穀豊穣と地域の安泰を祈る祭典が執り行われます。

 


神幸行列

春季例祭当日、氏子や地域の人々によって神幸行列が組まれます。

 

神職、氏子総代、神宝櫃などが列をなし里を進む姿は、古くから受け継がれてきた地域の信仰を今に伝える光景です。

佐久間象山先生揮毫の七反幟

春季例祭の時期には、境内に七反の大幟が掲げられます。

この幟は嘉永七年(1854)、当地出身の思想家・佐久間象山先生によって揮毫されたもので、春季例祭を象徴する風景の一つとなっています。原本は現在、筆代わりに使用したと伝わる箒とともに社宝として大切に保管されており、祭礼の際には象山先生の高弟である花岡復斎(1833~1908)による模写を掲げています。

幟には

「威稜扶宇宙(いりょううちゅうをたすけ)」

「恩眷煦生霊(おんけんせいれいをくす)」

と記されており、「八幡大神の御威光によって天地は安定し、その大いなる恵みがあらゆる生命に行きわたっている」という意味が込められています。

堂々と風にはためく七反幟は、鎮懐石の神幸行列とともに、春季例祭の訪れを告げる風物詩となっています。

巫女舞奉納

拝殿および神楽殿では巫女舞が奉納され、神前へ感謝を捧げます。

奉納相撲

百五十年以上の歴史を持つ奉納相撲は、現在も子どもたちによって受け継がれています。

地域とともに受け継がれる祭り

春季例祭は、単なる年中行事ではありません。

鎮懐石の伝承を今に伝え、地域の人々が力を合わせて執り行う若槻郷の大切な祭りです。

 

時代が変わっても受け継がれてきた祈りと伝統は、今日も変わることなく蚊里田八幡宮の春を彩っています。