霹靂木 〜雷を受け、社を守った御神木〜

選ばれし御神木 ― 霹靂木に宿るもの

当社の境内には、数えきれないほどの木々が立ち並んでいます。その中で御神木としてお祀りされてきた木は、わずかに二本のみ。そのうちの一本が、拝殿のすぐ南に立っていた杉の御神木でした。

 

令和五年五月十五日、その御神木に雷が落ちました。

 

樹齢およそ二百五十年。注連縄をめぐらし神の依代として敬われてきた木は、雷を一身に受け、注連縄は焼き切れ、幹の上部は大きく裂けました。雷が社殿に及ぶことはなく、御神木が身代わりとなるかたちで境内を守りました。

 

古来、雷を受けた木は「霹靂木(へきれきぼく)」と呼ばれます。

雷は天の力そのものであり、それを受けた木には龍神・雷神の御神威が宿ると信じられてきました。

 

御神木の大杉は倒木の危険を避けるため翌日には伐採されました。製材の際、木の断面には雷の電気が中心部を縦一直線に走った痕跡がはっきりと残っていました。雷がこの木を貫いたことを、木そのものが語っていたのです。

 

製材後、一年以上にわたり境内で乾燥させました。この乾燥期間は霹靂木となった御神木にとってどのような形がふさわしいかを考える時間となりました。そしてようやく、御神札・絵馬・木札という三つの形がふさわしいとの結論にいたり、特別授与品の奉製へととりかかったのです。

 


御神札 ― 御威光を仰ぎ、日々に置く

霹靂木の御神札は、雷を受けた御神木の力を最も静かなかたちでお祀りするものです。

多くの授与品が年ごとに新しくされる中で、霹靂木は年を区切って役目を終えるものではありません。雷を受けた御神木の力は時間を越えて、変わらず在り続けるものだと考えています。

 

絵馬 ― 願いを定め、神前に差し出す

霹靂木の絵馬は、願いを神前に差し出すためのものです。

願いを書くという行為は自らの心を見つめ、言葉として定めること。雷が天と地を結んだように、

その願いを、まっすぐ神に通すための絵馬です。

 

木札 ― 身近に携え、折にふれて思う

木札は霹靂木を最も身近に感じていただくためのかたちです。

日々の暮らしの中で折にふれて手に取り目にすることで、雷を受けてなお社を守った御神木の存在を思い起こしていただければと思います。

 

境内に数多くの木がある中で御神木として選ばれ、さらに雷を受けたという事実。

それは決して偶然ではない、と考えます。

 

雷を受け、なお社を守った御神木の力が皆様それぞれの歩みに静かに、しかし力強く寄り添いますように。